マニラ在住日本人から見て気になったフィリピンのニュースをピックアップ!
マニラ首都圏パラニャーケ市で中古自転車販売業を営む40代の日本人男性が12月14日午後7時40分頃に、仕事場に押し入ってきた銃を持った2人組の男に誘拐され、家族に身代金の要求があった。地元警察が身代金目的の誘拐事件と見て捜査中。
元の記事を読む→ 【2013年12月16日:朝日新聞】
同じマニラに住む在外邦人として他人事ではありません。明日は我が身と申しましょうか、身につまされる思いです。
まずは場所の確認です。パラニャーケってどこにあるのか? 左の地図で青いマーカーを立てているところです。その上の黄色いマーカーはニノイ・アキノ国際空港、その上の緑はメトロマニラのビジネス地区であるマカティ、右上の紫はフィリピンの最高学府であるフィリピン大学です。
ちなみに、左の赤いマーカーのエルミタは日本から品の良くない殿方が集まる風俗街、その上のトンドはマニラ最大のスラム街です。トンドで事件が起こってたら事件自体が明るみに出てこなかったかもしれませんね。恐ろしや恐ろしや。
こういう事件が起こりますと、パラニャーケって危ないところなんだね、ってな話になりがちです。しかし僕はそうは思わないわけでして、パラニャーケだろうとマカティだろうと、危険なエリアもあれば安全なエリアもあり、危険な時間帯もあれば安全な時間帯もある。その方が実態に合っていると思います。
逆に言うと、マニラのどこででも犯罪被害に遭う可能性はあるということでしょう。
では実際にマニラ首都圏で邦人が犯罪被害に遭っているのかですが、けっこう遭ってますね。マニラの日本国大使館がまとめた今年7~9月の邦人の被害事例を以下に転載します。(出典:在フィリピン日本国大使館海外安全対策情報)
(ア)7月中旬,首都圏マニラ市内のショッピングモール内で,邦人男性観光客が7人組の少女に体当たりされ,現金等が入った鞄を持ち逃げされる。
(イ)8月上旬,首都圏ダギッグ市の繁華街で邦人学生1名を含むグループが何者かに暴行を受け重傷。
(ウ)8月中旬,首都圏マニラ市マラテ地区の路上で邦人男性観光客が子供数人に囲まれ,現金の入った財布を奪われる。
(エ)8月中旬,首都圏マカティ市内で邦人ビジネスマンがタクシーに同乗してきた比人男性2人に現金と携帯電話を強奪される。
(オ)8月下旬,首都圏マニラ市のリサール公園を歩いていた邦人女性観光客が日本語を話す比人7人組に声をかけられ,一緒に食事をしたところ意識を失い,現金等を奪われる。
(カ)9月上旬,首都圏マニラ市エルミタ地区の路上を一人で歩いていた邦人男性観光客が,財布等の入った鞄をひったくられる。
いやはや。(オ)は自業自得なので同情する気にもなりませんが。(エ)はちょっとビックリです。マカティでそんなことが起こるとは。まさか白昼じゃないよなぁ。。。
これは大使館に届け出があったものだけですから。届け出のないものも含めると、この何倍にもなるのでしょう。いずれにしても用心が必要です。
さて、今回の誘拐事件、朝日新聞の記事には書かれていませんが、実は被害者の奥様はフィリピンの方だそうです。別にフィリピン妻が良いとか悪いとかいう話ではないのですが。ちょっと引っかかるといいますか。
年度 | 人数 |
---|---|
2008 | 8人 |
2009 | 3人 |
2010 | 5人 |
2011 | 1人 |
左の表の通り、フィリピンでは日本人がほぼ毎年、殺人事件の犠牲になっています。フィリピンは殺される日本人の数が世界でも有数の多さだそうです。(出典:外務省海外安全ホームページ)
こういうのを見るとフィリピンはすごく怖い国で、行ったら自分も殺される的に感じてしまうのですが、決してそうではありません。実はフィリピンで殺人被害に遭う日本人の多くには共通点があります。まず、暴力団関係者、次に薬物関係者、そして配偶者がフィリピン人。しかも多くは中年以上の男性です。
要は、トラブルがらみで殺人被害にあったというケースが大半ということです。では今回の誘拐事件はどうだったのか? あくまでも推測なのですが、下手に地元に密着してしまってたから、お金を持っているという情報が周りに流れていて、それでターゲットとして狙われてしまったのではないでしょうか?
はたまた、奥様の親戚筋が金を無心に来たけれど断られて、それを逆恨みして犯行に及んだとか。フィリピンでは大家族で助け合うのが当たり前ですので、何で遠縁の親戚に金を工面しなきゃいけないんだ、という日本人感覚は通用しません。
ネット上では「奥さんが犯行グループとつながってるのでは?」なんて無責任な噂も流れ飛んでいますが。兎にも角にも一日も早く誘拐された邦人の方が解放されることを祈っています。